歯並びが悪くなる原因は歯ぎしり?知っておきたい関係性と今すぐできる対策
「朝起きるとあごが疲れている」「最近、前歯が少し動いてきた気がする」と感じることはありませんか?実は、それらの悩みは「歯ぎしり」が深く関係しているかもしれません。
鏡を見るたびに気になる歯並びの乱れ。実は、日常的な歯ぎしりや食いしばりの習慣が、少しずつ歯を動かしてしまっている可能性があるのです。
この記事では、歯並びと歯ぎしりの意外な関係性を詳しく解説し、将来の健康な歯を守るための具体的な対策をご紹介します。大切な歯を守り、自信の持てる口元を手に入れるためのヒントを見つけていきましょう。
1. 歯ぎしりが歯並びに与える影響とは?
歯ぎしりは、寝ている間や無意識のうちに非常に強い力で上下の歯を擦り合わせる行為です。その力は、食事の際の数倍から十数倍、時には100kg以上の荷重がかかるとも言われています。
歯が移動するメカニズム
歯は、骨の中にしっかりと埋まっていますが、実は持続的な力が加わると動く性質を持っています。歯科矯正はこの原理を利用していますが、歯ぎしりは「悪い方向への強制的な矯正力」となってしまいます。
歯の傾斜: 左右にギリギリと擦り合わせることで、歯に横方向の力がかかり、外側や内側に傾いてしまうことがあります。
重なりの発生: 歯が押し込まれることで、スペースが足りなくなり、ガタガタとした歯並び(叢生)の原因になります。
歯の磨耗: 歯の先端が削れて平らになることで、上下の噛み合わせが深くなり、さらに歯並びを崩す悪循環に陥ります。
歯ぎしりの種類
一般的に「歯ぎしり(ブラキシズム)」と呼ばれるものには、主に3つのタイプがあります。
グラインディング: 上下の歯を横に擦り合わせる、いわゆる「ギリギリ」という音がするタイプ。
クレンチング: 強い力でグッと噛み締める「食いしばり」。音が出ないため自覚しにくいのが特徴です。
タッピング: カチカチと小刻みに歯を打ち鳴らすタイプ。
どのタイプであっても、歯やその周囲の組織に過度な負担をかける点では共通しており、放置すると歯並びの悪化に直結します。
2. なぜ歯ぎしりが起こるのか?主な原因をチェック
歯ぎしりの原因は一つに特定されることは少なく、複数の要因が絡み合っていることが多いとされています。
ストレスと緊張
現代社会において、最も大きな要因と言われているのがストレスです。日中の不安や緊張を、寝ている間の歯ぎしりによって発散しているという説があります。環境の変化や仕事のプレッシャーなど、心的な負担が脳を興奮させ、咬筋(噛む筋肉)を動かしてしまいます。
噛み合わせの不具合
詰め物や被せ物の高さがわずかに合っていなかったり、もともとの歯並びが悪かったりすることで、脳が「違和感を取り除こう」として無意識に歯を擦り合わせてしまうことがあります。
ライフスタイルの乱れ
飲酒や喫煙、過度のカフェイン摂取は、睡眠の質を下げ、歯ぎしりを引き起こしやすくします。特に深い睡眠が妨げられると、脳が覚醒に近い状態になり、不随意運動としての歯ぎしりが発生しやすくなります。
3. 歯並びが悪くなるだけじゃない?歯ぎしりのリスク
歯ぎしりを放置することは、見た目の問題だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
顎関節症(がくかんせつしょう)
強い力で噛み続けることで、あごの関節や筋肉に炎症が起き、口が開けにくくなったり、あごを動かすと音が鳴ったりするようになります。
歯の寿命を縮める
過度な圧力がかかり続けると、歯にヒビが入る「歯根破折」や、エナメル質が削れて象牙質が露出する「知覚過敏」を招きます。最悪の場合、歯が割れて抜歯が必要になるケースも少なくありません。
肩こり・頭痛
咬筋は側頭部や首、肩の筋肉とつながっています。歯ぎしりによってこれらの筋肉が過緊張状態になると、慢性的な頭痛や肩こり、顔のゆがみの原因となります。
4. 今日からできる!歯ぎしりと歯並びを守る対策
一度動いてしまった歯並びを自力で治すのは難しいですが、これ以上の悪化を防ぎ、歯を守るための対策は今日から始められます。
マウスピース(ナイトガード)の着用
最も一般的で効果的な対策は、歯科医院で自分専用の「ナイトガード」を作ることです。寝る時に装着することで、以下のメリットが得られます。
歯の摩耗を防ぐ: 樹脂製のマウスピースが身代わりとなって削れてくれます。
圧力を分散させる: 特定の歯に集中する負担を和らげ、歯が動くのを抑制します。
筋肉の緊張緩和: 噛み合わせの高さを調整することで、あごの筋肉への負担を軽減します。
日中の意識改善(TCHの是正)
「TCH(Tooth Contacting Habit)」とは、日中に無意識のうちに上下の歯を接触させてしまう癖のことです。本来、安静時の上下の歯は数ミリ隙間が開いているのが正常です。
仕事中やスマホを見ている時、歯が触れていることに気づいたらすぐに離すように意識しましょう。「歯を離す」と書いた付箋を目に付く場所に貼るなどの工夫も効果的です。
リラクゼーションと睡眠環境の改善
寝る前のストレッチやぬるめのお風呂への入浴など、副交感神経を優位にする習慣を取り入れましょう。枕の高さを見直すことも、あごへの負担を減らすポイントです。高すぎる枕は食いしばりを誘発しやすいため、適切な高さのものを選びましょう。
5. 歯並びが原因で歯ぎしりが起きている場合の解決策
もし、すでに歯並びが悪いために歯ぎしりが悪化している場合は、根本的な解決として矯正治療を検討するのも一つの手です。
歯科矯正による噛み合わせの改善
歯並びを整えることで、特定の歯に負担が集中するのを防ぎ、バランスの良い噛み合わせを実現できます。これにより、脳が感じていた「噛み合わせの違和感」が解消され、結果として歯ぎしりが軽減・消失する事例も多く報告されています。
専門医への相談
「自分は大丈夫」と思っていても、歯科医院でのチェックで歯のすり減りやあごの負担が発覚することがあります。定期検診を受けることで、早期にマウスピース治療などを開始でき、将来的な歯のトラブルを未然に防ぐことが可能です。
まとめ:大切なのは「気づくこと」と「守ること」
歯ぎしりは無意識の習慣であるため、自覚するのが難しい問題です。しかし、その影響は確実にあなたの歯並びや健康を蝕んでいきます。
まずは、自分の歯の形を鏡でよく観察したり、朝起きた時のあごの違和感に耳を傾けたりすることから始めてみてください。早期の対策は、美しい歯並びを維持するだけでなく、一生自分の歯で美味しい食事を楽しむための最高の投資になります。
もし気になる症状があれば、まずは信頼できる歯科医師に相談し、自分に合ったガード方法を見つけていきましょう。