猫の乳歯が抜けない「乳歯遺残」の見分け方|永久歯への生え変わり時期と抜歯が必要なケース
子猫から成猫へと成長する過程で、非常に重要なイベントの一つが「歯の生え変わり」です。通常、生後半年を過ぎる頃には乳歯から永久歯へと完全にバトンタッチされますが、中には乳歯が抜けずにそのまま残ってしまうことがあります。これを「乳歯遺残(にゅうしいざん)」と呼びます。
乳歯遺残を放置すると、将来的に深刻な歯周病や不正咬合(噛み合わせの悪化)を引き起こすリスクが高まります。今回は、飼い主さんが知っておくべき生え変わりのスケジュールや、注意すべきサイン、そして病院での処置が必要なケースについて詳しく解説します。
1. 猫の歯が生え変わる時期と順番
猫の歯は、人間と同じように一生に一度だけ生え変わります。そのスケジュールを知っておくことで、異変に早く気づくことができます。
生え変わりのスケジュール
生後3週間〜6週間ごろ:乳歯が生え揃います(計26本)。
生後3ヶ月〜6ヶ月ごろ:乳歯が抜け、永久歯が生えてきます。
生後7ヶ月ごろ:すべての歯が永久歯に生え変わります(計30本)。
生え変わる順番
一般的には「前歯(切歯)→犬歯(牙)→奥歯(臼歯)」の順に生え変わります。特に目立つのは鋭い犬歯ですが、実は最もトラブルが起きやすいのもこの犬歯です。
2. 「乳歯遺残」とは?見分け方のポイント
乳歯遺残とは、永久歯が生えてきているにもかかわらず、本来抜けるべき乳歯が同じ場所に残っている状態を指します。
見分け方のチェックリスト
自宅で愛猫の口の中を観察し、以下の状態になっていないか確認してみましょう。
歯が2本並んで生えている:特に犬歯の部分で、太い永久歯のすぐ脇に細い乳歯が並んで生えていませんか?これを「二重歯列」と呼びます。
永久歯が変な方向に生えている:残った乳歯に邪魔されて、永久歯が内側や外側に押し出されていませんか?
生後7ヶ月を過ぎても乳歯がある:個体差はありますが、生後7〜8ヶ月を過ぎても乳歯が残っている場合は、自然に抜ける可能性が低くなります。
3. なぜ乳歯遺残は危険なの?放置するデメリット
「放っておけばそのうち抜けるだろう」と楽観視するのは危険です。乳歯が残ることで、以下のようなトラブルが発生します。
歯周病の早期発症
乳歯と永久歯が密着して生えているため、その隙間に食べかすや歯垢が非常に溜まりやすくなります。子猫のうちから歯石が沈着し、若くして激しい歯肉炎を起こす原因となります。
不正咬合による痛み
本来の位置に生えなかった永久歯が、口を閉じるたびに反対側の歯茎や上顎を突き刺してしまうことがあります。これは猫にとって慢性的な痛みの原因となり、食欲不振につながることもあります。
永久歯の寿命が縮まる
乳歯が残っているせいで永久歯の根元が十分に発達できず、将来的に歯がグラついたり、早くに抜け落ちてしまったりすることがあります。
4. 病院での抜歯が必要なケースと判断基準
乳歯遺残が見つかった場合、多くのケースで外科的な抜歯が推奨されます。
判断のタイミング
永久歯が完全に露出している場合:永久歯が半分以上生えているのに乳歯がしっかり固定されているなら、自然脱落は期待できません。
去勢・避妊手術のタイミング:生後6ヶ月前後の去勢・避妊手術を行う際、全身麻酔をかけるついでに乳歯を抜歯するのが一般的です。猫への身体的負担(麻酔の回数)を最小限に抑えられます。
抜歯の処置について
猫の乳歯は根っこが非常に長く、無理に引っ張ると途中で折れて炎症の原因になります。そのため、動物病院では全身麻酔をかけた上で、根元から丁寧に抜去します。
5. 飼い主さんが家庭でできるサポート
生え変わり時期の違和感を和らげ、健康な歯並びを促すために以下のことを意識してみましょう。
おもちゃで遊んであげる:適度に弾力のあるデンタルトイや紐などを噛ませることで、抜けかかった乳歯が自然に脱落しやすくなります。ただし、硬すぎるもの(鹿の角など)は永久歯を欠けさせる恐れがあるため避けましょう。
口の中を観察する習慣をつける:生後3ヶ月から半年間は、週に数回は唇をめくって歯の状態をチェックしてください。
抜けた歯を探してみる:多くの場合、猫は抜けた乳歯を飲み込んでしまいます(便と一緒に排出されるので無害です)。もし見つけられたら、成長の記念として保管しておくのも良いですね。
まとめ
猫の「乳歯遺残」は、早期に発見して対処すれば、将来の口内トラブルを確実に防ぐことができます。
もし愛猫の歯が二重に生えているのを見つけたら、まずはかかりつけの獣医師に相談してみましょう。特に生後半年ごろの健康診断や手術のタイミングは、お口の健康を確定させる絶好のチャンスです。
美しい永久歯を一生使い続けられるよう、成長期の今しかできないケアを大切にしてあげてください。
猫の歯並びが悪いのは病気?飼い主が知っておくべきチェック方法とケアの秘訣